
生理前になると、なぜかイライラが抑えられない。身近な人に当たって、お互いにつらい気持ちになってしまう…
このような悩みを抱えるのはあなただけではなく、実際には多くの女性が生理前になると心や体の不調を感じています。
日本産婦人科学会によると、約80〜90%の女性が生理前になんらかの不調があったと報告されています1)。
では、なぜ生理前になるとイライラするのでしょうか。
この記事ではイライラの原因や、今日からできるセルフケア方法、病院を受診すべき目安までをわかりやすく解説します。
自分を責めず、生理とうまく付き合っていくためのヒントを見つけましょう。
生理前にイライラが起こる原因とは

生理前にイライラを感じるのは、生理がある人なら誰にでも起こる可能性がある症状です
この章では、生理前にイライラを感じる主な原因である「PMS(⽉経前症候群)」と「PMDD(⽉経前不快気分障害)」について解説します。
つらいイライラがなぜ起こるのか、まずは原因を知ることから始めましょう。
生理前のイライラはPMS(月経前症候群)が原因の可能性
生理前のイライラは、PMSが原因の可能性があります。PMSとは、排卵後から生理が始まるまでの期間に現れる、身体的および精神的な不調の総称です。
多くの場合、生理が始まるとPMSの症状は軽減します。PMSの主な症状を以下にまとめました。
【身体的症状】
- 頭痛
- むくみ
- 乳房の張り
- 腰痛
【精神的症状】
- イライラ
- 気分の落ち込み
- 集中力の低下
生理前になるとイライラや気分の落ち込みを感じるのはPMSのひとつであり、多くの方にみられる症状です。
女性ホルモンの変動がPMSに関係している
PMS(月経前症候群)が起こる原因は、はっきりと解明されていませんが、女性ホルモンの変動が関係していると考えられています。
女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンは、排卵が起きると急激に増加し、生理前に大きく減少します。
こうした女性ホルモンの変化により、脳内のホルモンや神経伝達物質のバランスが崩れ、感情が不安定になるという説が有力です。
PMS(月経前症候群)とPMDD(月経前不快気分障害)
生理前の不調はPMSだけでなく、より精神的症状が強く現れるPMDDが関わっている場合もあります。以下にPMSとPMDDの主な違いをまとめます。
| 項目 | PMS | PMDD |
| 症状の範囲 | 身体的および精神的症状 | 精神的症状が強い |
| 精神的症状 | イライラ、不安、情緒不安定など | 抑うつ、怒り、絶望感、自己否定、攻撃性など |
PMDDは専門的な治療が必要です。生理前のイライラで仕事や人間関係にも影響が出ている方は、一度医師に相談してみましょう。
生理前のイライラを軽減するためのセルフケア

生理前のイライラは、たとえ軽い症状であっても医師に相談できます。とはいえ「病院に行くのはハードルが高い」と感じる方も多いのではないでしょうか。
ここでは、日常生活の中で無理なく取り入れられるセルフケア方法を3つ、ご紹介します。
症状日誌をつける
生理前のイライラとうまく付き合うためには、症状日誌が効果的です。日誌には、次のような内容を記録します。
- イライラや落ち込みなどの感情の変化
- 身体的症状(頭痛、眠気、食欲など)
- 仕事や家事・育児に影響があったか
- 症状がひどくなる・軽くなる条件はあるか
記録を続けることで、症状が出やすい時期には予定を調整するといった対策につながります。
病院を受診する際にも役立つので、手帳やアプリなど続けやすい方法で記録を始めてみましょう。
生活習慣を見直す
PMSによるイライラを軽減するためには、日常の生活習慣を整えることが大切です。以下に、生活の中で取り入れやすい工夫をまとめました。
- 規則正しい睡眠を意識する
- 栄養バランスの良い食事を心がける
- 定期的な運動を取り入れる
- ストレス発散やリラックスの時間を持つ
- アルコールやたばこを控える
できることから少しずつ、日々の生活に取り入れてみましょう。
サプリメントや市販薬も選択肢に
生活習慣の見直しだけでは不調が改善しにくい場合、サプリメントや市販薬も選択肢の一つです。
研究では、以下の栄養素にPMSの症状緩和効果が期待されています2)3)。
- ビタミンB6
- カルシウム
- 亜鉛
また、以下はPMSに使用される市販薬の一例2)5)です。
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
- 抑肝散(よくかんさん)
- プレフェミン
効果の現れ方には個人差があります。また、現在ほかの治療を受けている方は、使用前に医師や薬剤師に相談しましょう。
つらいイライラで病院を受診する目安と治療の例

精神的な不調は、自分ひとりの努力だけで解決できるものではなく、医学的なサポートが必要になることもあります。
ここでは、病院を受診する目安や治療の一例について紹介します。
病院を受診する目安
生理前のイライラや感情の乱れがつらい場合、我慢せず医師に相談してみましょう。特に、以下のような状態に当てはまるときは、早めの受診が重要です。
- イライラや怒りが原因で人間関係にトラブルが起きている
- 仕事や家事、育児などの日常生活に支障が出ている
- セルフケアや市販薬を続けても効果を感じられない
症状日誌などの記録を持参すると、医師に症状が伝わりやすくなります。イライラ以外にも気になる症状がある場合も、一度病院を受診してみましょう。
病院で受けられる治療│低用量ピルや漢方薬など
PMSやPMDDと診断された場合、症状の程度や希望に応じて、カウンセリングや薬による治療が受けられます。
以下はよく使用される薬の一例です。
- 低用量ピル:排卵を抑えることでホルモンの急な変動を和らげ、PMS症状の安定が期待される
- 漢方薬:体質や症状に応じて処方され、心身のバランスを整える
- SSRI(抗うつ薬の一種):精神症状が強く出る場合に使用され、気分の安定をサポートする
上記以外の治療も受けられます。医師と相談しながら、自分に合った治療法を見つけましょう。
よくある疑問(FAQ形式)
ここでは、よくある質問に対してQ&A方式でお答えします。
- Qイライラするのは何日間続く?
- A
生理前のイライラが強く出るのは、生理開始前3〜10日間だと言われています。
PMSによるイライラの場合、生理が始まると自然に症状が軽快するのが特徴です。
- Q年齢や出産で生理前のイライラが悪化することはある?
- A
はい。30代以降や出産後には、PMSの症状が変化することがあります。
研究では「怒りやすくなる」「感情の起伏が激しくなる」などの傾向が報告5)されており、ホルモンやライフスタイルの変化が影響していると考えられます。
まとめ
生理前のイライラは、多くの女性が同じような症状に悩んでおり、個人的な弱さが原因ではありません。
この記事でお伝えしたこと
- イライラの原因としてPMSやPMDDがあり、ホルモンの変化が影響している
- セルフケアとして、症状日誌や生活習慣の改善、サプリや市販薬などの選択肢がある
- 日常生活に支障が出ている場合は、早めの受診を検討する
自分に合った方法を少しずつ取り入れながら、心と身体をいたわりましょう。
参考文献
- 月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS). 日本産科婦人科学会. 2025.
- 月経前症候群・月経前不快気分障害に対する診断・治療指針.日本産科婦人科学会.2025.
- Elizabeth R Bertone-Johnson, et al. Calcium and vitamin D intake and risk of incident premenstrual syndrome. Arch Intern Med.2005 Jun 13;165(11):1246-52.
- プレフェミン® 添付文書. ゼリア新薬工業株式会社, 2023.
- 婦人科疾患の診断・治療・管理. 日産婦誌61巻10号.2009.N-501-509


